卒業者の声

筑波大学の卒業者からのメッセージです。在学中にサイエンスコミュニケーション活動の経験が卒業後どのように役立っているのことを話してくれます。


小林 沙羅

2013年~2017年 筑波大学生命環境学群生物学類
2014年〜2017年 SCOUT サイエンスコミュニケーション団体
2016年 オーストラリアでのサイエンスコミュニケーション研修ツアー

私は2024年現在、日本学未来館で科学コミュニケーターとして展示制作やイベントの企画運営などに携わっています。 またそれとは別に、個人のサイエンスイラストレーター・動画クリエイターとしても活動をしています。 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の広報、フリーランスのサイエンスイラストレーターを経て現在に至ります。

筑波大学では、科学コミュニケーション団体SCOUTでの活動や海外研修、サイエンスライティング講座などを通じて、科学コミュニケーションの手法を幅広く学ぶことができました。 特に医学系、生命環境系、芸術系が共同で開講していた「サイエンスビジュアリゼーション演習」は私のキャリアにとって非常に重要なものでした。

これらの経験は卒業後のさまざまな場面で活かされています。 たとえばサイエンスライティングのスキルは、記事を書くときだけでなく、企画を立てる時や動画の台本を考える時などにも非常に役立っています。 また、サイエンスビジュアリゼーション演習がきっかけで、サイエンスイラストレーター・動画クリエイターとしての道がひらけました。

在学中、親身になって相談に乗ってくれた人のおかげで今の私があります。 大学は本当にたくさんの機会に溢れていると思いますので、これを読んでいるみなさんもぜひ今の環境を最大限に活用して、次のステップに繋げていってください。


綾塚 達郎

2009年~2011年 筑波大学生命環境学群生物資源学類
2011年~2015年 筑波大学生命環境科学研究科生物資源科学専攻
2012年〜2015年 SCOUT サイエンスコミュニケーション団体
2015年 オーストラリアでのサイエンスコミュニケーション研修ツアー

大学院を卒業後、教育出版会社、日本科学未来館と経て、現在は名古屋大学のサイエンスコミュニケーターとして勤務しています。 様々な現場を経験してきましたが、サイエンスコミュニケーションのエッセンスは共通することも多いです。その意味で、筑波大学SCOUTでの活動が今でも役に立っていると感じます。

サイエンスコミュニケーションの基本は、相手はどんな人か、その人に何を伝えたいのか、ということです。 この設計は単純に見えて意外と難しく、現場でたくさんの人と出会うこと、本番の場数を踏むことが何よりも大切です。

茨城県北部、大子町で行った科学実験教室では、当時流行っていた「こびとづかん」や「妖怪ウォッチ」をモチーフにしたストーリーを組みました。 ストーリーに没入感をもたせるため、内容にご当地の観光名所・袋田の滝など身近な素材を採用。 さらに、当日はスタッフ全員が役者となって臨場感を出します。

子どもはとても素直。最初のつかみが成功するかどうかで、そのあとの集中力が段違いに変わります。 また、“お勉強”感を出さないのも狙いです。 ストーリーを楽しんでいたらいつのまにか科学にどっぷりつかっていた、という具合が科学へ興味を持たせるのにちょうどよい塩梅なのです。

同じ小学生むけに科学実験教室を行うとしても、授業の進み具合、子どもたちのあいだで流行っていること、実施する地域など、たくさんのことを想像し尽くしてはじめて良い企画が浮かび上がってきます。 これは小学生対象のものだけでなく、社会のいろんな人に向けて行うサイエンスコミュニケーション全てに通ずるものがあり、今でも役に立っている大切な経験です。